標高2,000メートルから生まれた挑戦
ー グアテマラ ロス・アグアカトネス
グアテマラ西部、険しい山々が連なるウエウエテナンゴ。その標高約2,000メートルの高地に、ロス・アグアカトネス農園はあります。農園名の「アグアカトネス」は、この土地でかつて栽培されていたアボカドに由来します。2009年頃、荒れた土地にアボカドとコーヒーを植えることから、農園の物語は始まりました。しかし翌年、火災によって多くの木が失われます。それでもフレディ・ミルトン・モラレスさんたちは諦めず、この場所を高品質なコーヒー農園として再生する道を選びました。
標高が高く冷涼なこの土地は、コーヒーチェリーがゆっくりと成熟する一方、痩せた土壌や厳しい微気候、半年ほど続く乾季など、多くの困難を抱えていました。そこで、もともと生えていた木々を残しながら、チャルムやグレビレアといったシェードツリーを植え、土壌環境を整えました。さらに雨季の水を蓄える貯水槽や手掘りの井戸を設け、乾季には点滴灌漑で一本一本のコーヒーの木を支えています。自然環境を守り、森を育てながら品質を高めること。それが、この農園の根幹となりました。
農園を担うフレディさんは、ウォッシュド、ハニー、ナチュラルなど、品種や収穫条件に合わせた多様な精製方法を追求してきました。乾燥には日差しを和らげる遮光ネット付きの高床式ベッドを導入し、チェリーやパーチメントをゆっくり乾かすことで、果実の甘さと複雑な香りを引き出しています。ロス・アグアカトネスのアナエロビック・ナチュラルでは、嫌気性発酵と天日乾燥を組み合わせ、トロピカルフルーツや熟した果実を思わせる個性的な風味が生み出されています。
その努力は、世界的な品評会Cup of Excellenceでも評価されました。2017年にナショナルウィナーに選ばれ、2018年8位、2019年13位、2020年4位と上位入賞を重ねています。そして2026年には、ロス・アグアカトネスの別ロットが89.86点を獲得し、グアテマラCOEのチャンピオンに輝きました。これは一度の偶然ではなく、15年以上にわたり、土、水、木、精製の一つひとつと向き合ってきた日々の積み重ねが実を結んだ結果です。
今回ご紹介するロットは、Villa Sarchi、Bourbon、Catuaiを使用したアナエロビック・ナチュラル。発酵によって引き出された華やかでフルーティーな個性を活かすため、浅煎りに仕上げました。カップから広がるのは、完熟したマンゴーの濃密な甘さと、オレンジを思わせる明るくジューシーな酸味。温度が少しずつ下がるにつれて、果実酒のような芳醇さと奥行きが現れ、ワインを思わせる長く心地よい余韻へと続きます。
厳しい高地を豊かな農園へと変えた情熱と、自然を尊重しながら新しい味わいに挑み続ける探究心。その物語を、鮮やかなマンゴーとオレンジの香りとともにお楽しみください。
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